スプリングフレームワークとは?特性や導入のメリットやスキルについて解説|Manoa-Lino Freelance(マノア・リノ フリーランス)のカバー画像

スプリングフレームワークとは?特性や導入のメリットやスキルについて解説

公開日:2025/05/12最終更新日:2025/05/21

Java言語には、アプリケーションやシステム開発の効率を向上させるためのさまざまなフレームワークがあります。その中でも特に人気があるのがスプリングフレームワークです。本記事ではそんなスプリングフレームワークについて、どんな特性があり、導入のメリットがあるのか。利用にあたってどんなスキルが必要なのかを解説 していきます。スプリングフレームワークについて詳しく知りたいエンジニアは、ぜひ参考にしてください。


1.スプリングフレームワークとは?

Javaフレームワークのひとつで、アプリ開発における作業の効率化を向上させる有用なツールです。Javaの開発環境で用いることができ、複雑なアプリケーションも効率良く開発することが可能になります。企業のシステムを構築したり、Webサービスを作る際など多くのシーンで活用されており、今後もJava開発において必要なフレームワークであることは間違いありません。


2.スプリングフレームワークの特性

スプリングフレームワークには、「依存性の注入(DI)」と「アスペクト指向プログラミング(AOP)」という2つの中心的な概念があります。では、それぞれどんな概念なのか詳しく見ていきましょう。


依存性の注入(Dependency Injection)

システム内で動作するオブジェクトの生成とそのライフサイクルを「Ioc コンテナ」に管理させ、オブジェクト間の依存関係を管理する設計パターンのことを指します。当該設計パターンの採用により、書かれたコードは柔軟性を保ちつつ、単体テストも容易に実行できるようになります。DIとはオブジェクトが必要とする依存対象を外部から注入することで、各オブジェクトが自ら依存対象を生成・管理することなく、自身の職務に専念できるようにするものです。そのため開発者は、具体的な依存関係を意識することなく、各コンポーネントを独立して開発することができます。


アスペクト指向プログラミング(Aspect Oriented Programming)

スプリングフレームワークではアスペクト指向プログラミング(Aspect Oriented Programming, AOP)というプログラミングパラダイムを用いています。これにより、横断的な関心事(トランザクション管理、ログ出力、セキュリティチェックなど)をアスペクトとしてモジュール化し、再利用性と保守性を向上させています。AOPを活用することで、一貫した振る舞いを各部分に適用することが可能になり、トランザクション管理やログ出力などのアスペクトをアプリケーション全体で再利用することができます。結果として、各関数やメソッドに散らばっていた重複コードを一元管理することができ、全体的な視覚性と保守性が向上します。


3.スプリングフレームワーク導入のメリット

スプリングフレームワークを導入することが得られるメリットには、どんなことがあげられるのでしょうか。


メリット1:高度な柔軟性とテスト容易性

高度な柔軟性を享受することができ、コードを疎密な設計にすることができます。また、DIを利用することで単体テストが非常に容易になり、開発速度とソフトウェアの品質を向上させます。


メリット2:横断的な関心事のモジュール化

横断的な関心事を切り離し、独立したモジュールとして扱うことができます。セキュリティ、トランザクション管理、ログ出力などの機能はアプリケーション全体で再利用でき、その結果コードの重複を避けることができます。


メリット3:開発生産性の向上

スプリングフレームワークは基盤機能を自動的に管理するため、開発者はビジネスロジックに専念することができます。開発者は生産性を大いに向上できるため。


メリット4:コード品質の向上

また、スプリングフレームワークを用いると、アプリケーションのコード品質が向上します。DIとAOPの利用により、テスト容易性が向上し、機能のモジュール化が可能になります。これにより、柔軟で維持管理しやすいアプリケーションを作成できます。


4.スプリングフレームワークの活用例

実際にスプリングフレームワークをどのように活用するか、具体的な事例を交えてご紹介します。


CRMシステムの開発

顧客関係管理システム(CRM)は、企業が多様な顧客データを管理し、ビジネスの効率化や売上向上を図るためのツールです。スプリングフレームワークを活用すれば、オブジェクト指向の原則に基づいた堅牢なコードを書くことができ、システムの安定稼働と維持管理のしやすさを実現できます。具体的には、スプリングフレームワークの中心的な概念である依存性注入を通じて、各オブジェクトの生存期間と関係性を緻密に管理することが可能です。


インターネットバンキングの構築

安全なインターネットバンキングシステムを構築するには、システムのセキュリティと性能を確保する必要があります。そこでスプリングフレームワークのセキュリティ機能やトランザクション管理機能を利用すれば、これらの要求を満たすシステムを効率的に開発することが可能です。また、セキュリティ関連の業務は複雑であるため、その専門性をフレームワーク側に委ねることで開発者はビジネスロジックに集中することができます。


Eコマースのプラットフォーム作成

インターネット上で商品を売買するEコマースのプラットフォームでは、ショッピングカートの管理、商品の検索とフィルタリング、決済処理など、多くの機能が必要となります。これらをスプリングフレームワークで組み込むと、より効率的にサービスを提供できます。例えば、スプリングMVCを利用すれば、プラットフォーム内での各種リクエストの処理を効率的にコントロールできたり、スプリングのRESTサポートを使用することでユーザーに細やかな検索機能やリッチなユーザー体験を提供できます。


SaaSアプリケーションの開発

ソフトウェアをサービスとして提供する(SaaS)アプリケーションの開発にも、スプリングフレームワークは大いに活用できます。活用することでモジュール性とプラグインアーキテクチャにより、独立した機能を持つコンポーネントを追加したり、既存のコンポーネントの交換が容易になります。また、スプリングフレームワークが提供する依存性の注入とアスペクト指向プログラミング機能は、アプリケーションの組成と再構成を非常に柔軟に行うことを可能にするため、アプリケーションの高速な開発と同時にメンテナンスの簡素化も可能になります。


マイクロサービスのアーキテクチャ

分散システムの構築、特にマイクロサービスのアーキテクチャは、現代のアプリケーション開発の主流の一つです。この範囲でスプリングフレームワークを使用すれば、スプリングブートとスプリングクラウドを利用して、マイクロサービス組織のための標準的なプラットフォームを構築できます。スプリングブートを使用すれば、スタンドアロンのマイクロサービスを迅速に開発でき、スプリングクラウドはそれらマイクロサービスのコーディネートを助けます。これらをうまく活用することで、スケーラビリティと信頼性を備えたシステムを構築できます。


5.スプリングフレームワーク利用に必要なスキル

スプリングフレームワークをより効率的に使うためには、どんなスキルが必要でしょうか。


Javaの基本スキル

まずはJavaの基本的なスキルが必要です。スプリングはJavaのフレームワークなので、Javaの文法を理解し、さまざまな命令を使いこなせることが求められます。


スプリングフレームワークの技術

次に、スプリングフレームワークを活用した開発経験を積むことも必須です。スプリングフレームワークが提供する機能を理解し、IoC/DI、AOP、MVCなどの設計思想や設計パターンを理解することが重要です。


データベースとSQLの知識

また、データベースやSQLについての知識も必要となります。スプリングフレームワークを利用するときはよくJDBCやORM、トランザクション管理などを行うため、これらの概念を理解しておく必要があります。


JUnitを用いたテスト技術

スプリングフレームワークでは品質を保つためのユニットテストが重要とされています。そのため、JUnitを用いたテスト方法を理解し、自信をもってテストコードを書けるようになることも大切なスキルの一つです。


ビルドツールの知識

最後に、ビルドツールについての知識も必要です。具体的にはMavenやGradleといったツールの使用経験が求められます。これらのツールを使いこなすことで、ソースコードから実行可能なアプリケーションへの導線を効率的に作り出すことが可能となります。


6.スプリングフレームワークを理解して、開発力をあげる

スプリングフレームワークの高度な抽象化とモジュール性により、開発者はより直感的に、そして効率的にコーディングを行うことが可能となります。スプリングフレームワークはコミュニティーや参考資料も充実しているため、初心者の方でもこの機会にぜひ習得向けてチャレンジしてみてください。


フリーランス案件・求人を探す